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(判決)垂口同我は、「AとBは身分上も、生活関係上も、一体性が認められず、Aの遺族ⅩがYに対して損害賠償を求めるに際しては、Bの過失は掛酌されるべきではない」と判断しました。 この判決は、被害者側の過失について具体的な判断事例を掲げたことに意義が認められます。
自動車を「走る兇器」ということがありますが、走っていなくても自動車にからんだ事故は起こっています。 交通事故の被害者のためにつられた自動車損害賠償保障法によって、加害者に賠償責任を負わせることができるのは、人身事故が自動車の運行によって起こった場合です。
運行というと、自動車が動いている、走っている状態を連想するのがふつうですが、自賠法は、運行とは、人または物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう、と定義しています(二条二項)。 そこで、「運行によって」の限界的なケースとして駐停車中の自動車で作業中に起きた事故について、自賠法の通用があるかないかが争われます。
判例は、適用があるとするものが多いので、肯定例から紹介します。 ◎クレーン車を停車させてクレーンを操作中の事故(畢日岡裁・昭和五二年二月二四日判決)(事案)甲会社は、全社のトラックが道路脇に転落したので、A全社にその引揚作業を依頼しました。
A会社はクレーン車を運転手つきで現場に派遣し作業にかかりました。 甲会社の従業日月乙も引揚作業を手伝い、クレーン車のブームの先から吊り下げられているワイヤーの先端のフックを掴んで、これを転落しているトラックに引っ掛けようとしたとき、ワイヤーが上空を通過している高圧線に接触し、乙は感電即死したという事故です。

乙の遺族は、クレーン車を所有するA会社に、自賠法三条に基づき運行供用者責任を求め、A社はクレーン車を固定して作業中の事故だから、運行によって生じた事故とはいえないといって争われました。 (判決)本判決は、運行というのは、自動車をエンジンその他の走行装置により、位置の移動を伴う走行状態におく場合だけでなく、このケースのように、特殊自動車であるクレーン車を走行停止の状態において、操縦者が車の固有の装置であるクレーンを、その目的にしたがって操作する場合をも含む、と解釈して、A会社に賠償責任を認めました。
この考え方は、いわゆる固有装置説といわれるものですが、右重商裁判例以前にも下級審判例は、・コンクリートミキサー車のミキサーを回転し、後部に登って給水中にミキサー車の震動で路肩が崩れて車が転落したことによる事故(徳島地裁・昭和四四年九月二九日判決)・ショベルローダーのレバーの操作ミスによって、車両の前部にいた運転者の頭上にショベルが落下した事故(函館地裁・昭和四七年六月二八日判決)について、いずれも自賠法の規定している運行によって生じた事故であると認めていました。 したがって、自動車自体は駐停車していても、その自動車に装置されている装備を操作している過程で起こった事故については、自賠法の通用があると考えてよいでしょ、つ○自動車の装置を操作していたときではな、駐停車して荷積み荷降ろしその他の作業中の事故についても、下級審の裁判例は、・トラックを林道に駐車して、原木を製材所に運搬するために積み込み、ちょうどその作業が終わったとき、トラックの上にいた作業員が地上に転落し、そこへ材木が落下した事故(仙台高裁・昭和五四年九月七日判決)・道路沿いに約五メートルの間隔で約八〇〇メートルある街路樹の花壇に、自動車の荷台から、停車と走行をり返しながら土砂を落とし入れる作業に従事中、自動車から転落して死亡した事故(福岡地裁小倉支部・昭和五四年二月二六日判決)について、自賠法三条の「運行によって」生じた事故を肯定しています。
後者の判例は、自賠法三条の「運行」とは必ずしも自動車の走行そのものに限定するのではなく、その走行自体のほか、これに密接してなされた駐停車中等をも含むものと解釈すべきものである、と述べています。 このような肯定例に対して、次のように、停車中のトラックから荷降ろし作業中の事故について、自動車の運行によって発生したものとはいえないという、これを否定する判例が出ています。
限界的なケースとして紹介しましょう。 〔判例E]〕◎材料置場に停車して荷降ろし作業中の事故は駐車前および駐車後の走行との連続性に欠ける(最高裁・昭和五六年二月一三日判決)(事案)古い電柱の集荷作業を請負っていた(孫請け)甲は、積降ろしのために雇ったA・Bととも尼、集荷した古電柱を積んだトラックを運転して、下請会社の材料置場に着きました。
材料置場は道路に面して約一〇〇坪、事務所やレッカー車、古電柱が置いてあり、中央あたりが空き地となってお、甲はそこにトラックを停車させました。 甲らは事務所で昼食をとり、さらに約1時間休憩してから荷降ろし作業にかかりましたが、ロープをはずしたりしているうち、突然積んであった古電柱が落下し、Aはその下敷となって即死するという事故が起こりました。

(判決)前述した肯定例とくらべると、道路上の事故でないこと、停車してから一時間以上のブランクがあることなどが違っています。 しかし1審判決は、その点はさして問題にはならないとし、トラックが荷物を積んで運んできたからには、いずれ荷降ろし作業はしなければならず、結局この事故も、自動車の走行と密接に関連して生じた事故であるから、運行によって生じた事故であると判断しました。
一方、控訴審判決は、①普通のトラックにはダンプカー等とちがって装置の操作ということは考えられないし、事故時に側板や後板を操作した形跡がないこと、②材料置場に画して道路との境界には何の障壁もないといっても、関係者以外の一般の人や車両が出入りすることは許されておらず、実際にもそういう事態は考えられないこと、③事故は停車させたあと、昼食、休憩後の作業中に起きたもので、駐車前の走行との連続性に欠け、また古電柱の荷降ろしが走行準備のためのものではなく、駐車後の走行との連続性にも欠けていること、を指摘し、自動車の運行によって発生した事故ということはできない、と判断しました。 そして本判決も、右のような事実関係のもとでは、という制約つきで控訴審の判断を支持しました。
(解説)荷積み、荷降し中の事故については、やはり、駐停車の場所と、駐停車の前後の走行との連続性が、運行によって生じたといえるか否かの判断基準になるものと思われます。 荷降ろし作業中の事故につき運行中と認定した例と否定した例(最高裁・昭和六三年六月一六日判決)(事案)荷降ろし作業中の事故が、自動車の運行によって生じたものといえるか、に関する最高裁判例としては、前掲の二つの判例が代表的な例で、いわゆる固有装置説をとっているといわれます。
しかし、学説の中には、「車庫から車庫説」「危険性説」など、もっと広く責任を認める見解もあります。 (判決)最近の重商裁判例は、フォークリフトによる荷降ろし作業中の人身事故について、つぎのような判断を示し、固有装置説をとりながらも、「運行によって」に当たる場合をしぼって解釈しています。
駐停車の場所、走行との連続性についても述べていますので紹介しておきます。


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